
完璧なザックに出会うことって、すごく難しいことですよね。
そもそもザックの多くが海外メーカー製で欧米人向けに作られていることもあり、
背面長ピッタリで背中のフィット感は良くても、ベルト類を限界まで絞らないと安定しない、もしくは絞り切っても不十分だという問題はしばしば起こるのではないでしょうか。
今回はウエストベルトに余裕がありすぎて、十分な締め付けが得られない場合の対処についてのアイデアです。
先に使用するアイテムを紹介しておくと、
- ゴム付きマジックテープバンド
- パイプ保護カバー
この2点だけ。
ざっくり合計1,000円以内で揃ってしまいます。
この方法のポイント、利点としては、
- 安くて簡単
- 重量があまり増えない
- ザック本体への加工が不要(ザックを傷つけない)
- 腰サポーターをかます対処と違い、着脱や調整の必要がない
あくまで簡易処置のつもりで取り付けたところ、思いの外、個人的には悪くなかったので紹介したいと思います。
もくじ
ウエストベルトのスペースを埋める
理屈としてはかなり単純で、ウエストベルトを絞ってもできてしまう空間に物体を詰めてフィットを上げるという方法です。
文章では伝わりづらいと思うので、まずは取り付け後の写真をご覧ください。

こんなふうに、ウェストベルトの背中側の両サイドにできてしまうスペースを埋めるように取り付けて使用します。
このアイデアに至る前の段階でも色々と試行錯誤を重ねた(ナルゲンボトルをヘソ下に挟んでみたり……)わけですが、ベルトがデフォルトで長すぎるという問題も去ることながら、やはり「ザック本体の腰に当たる面とウエストベルトの始点との間に空間ができてしまう」ことが、フィット感を損なう大きな原因と考えました。
そこで、そのデッドスペースを埋めるべく、
- 軽い
- そこそこ丈夫
- 引っ掛かりや摩擦の干渉が少ない
という条件を満たす素材をホームセンターで懸命にディグしたところ、パイプ保護カバーというかなりリーズナブルな材料を発見したわけです。
ベルトのスキマを埋めるモノ

パイプカバー13mmテープ付きというものです。手前に白く飛び出しているのがテープ部分で、白い台紙を剥がすと粘着面が現れます。
本来は屋外で露出した水道管の保護などに使われるもので、大抵のホームセンターには置かれていると思います。
これがスキマを埋める為にうってつけなところは、
テープが巻きついているので、表面がツルツルでウエアへの干渉が少なそう、気泡緩衝材が摩擦でボロボロと削れたりしにくそう、という点。
さらに、安価で軽い。加工が簡単。適度な強度とクッション性。
ほぼパーフェクトなアイテムではないでしょうか!
ウエストベルトへの取り付け方法
取り付けに関しては、いたってシンプルです。

- パイプカバーを、ウエストベルトの幅に合わせてカット
- あらかじめカバーに付いているテープを利用して環状に
- 真ん中の穴にマジックテープバンドを通す
- ウエストベルトの任意の位置に固定

わたしの場合、マジックテープバンドを思いっきり締め付けてウエストベルトに跡がついてしまう等のトラブルを避ける為、伸縮するゴム付きのマジックテープバンドを使用しました。
|
ただ体感としては、移動中に取り付け位置から大きくズレてしまうことはなく、仮にスライドしてしまってもベルトポケットで止まるので、そこまでマジックテープでキツく締め上げる必要はないのかも知れません。
よって、ゴムなしマジックテープの方がより安価なので、より安く納めたい場合には特にゴム付きにこだわらずとも良さそうです。
一点、マジックテープのジャミジャミした部分が露出すると、ウエアなどと接触した際にダメージが及ぶ恐れがあるのでそこには注意が必要です。
それでもベルトが余る場合には

画像のように、バームクーヘン状の構造がクッションとして機能しています(わかりづらいですが、上から自分の右腰を撮影しています)。
調整したいスキマの大きさによっては、13mmより厚いパイプカバーを使用する、もしくはカバーを二重にするなどの対処である程度の調整がききそうです。
ザック装着時の実測値

長さ11cmほどにカットした場合のマジックテープを含めた重さは31グラムでした。
実際はマジックテープの重さの比率の方が大きいので、パイプカバーは厚くしても重量にはあまり影響しなさそうです。
なお、ウエスト周りの長さに関しては5〜8cmほどの調整ができたことになり、しっかり腰にフィットさせることができました。
ちなみにわたしの場合、バックカントリースキー用のザック(THE NORTH FACEのチュガッチ45リットルモデルのMサイズ)に施したのですが、おそらく元々ハードシェルの上からの使用を想定しているザックなので、ウエストベルトが長めに取られているものと思われます。
しかし内部へのアクセスなど使い勝手が良く、軽装時にも使いたいと背負ったところ、ウエストベルトがガバガバになってしまい困っての対応策でした。
冒頭に書いたような欧米サイズへの対応と合わせて、冬季用のザックの軽装時使用の対応にもオススメです(積雪期でもハイクアップ時は運動量が多いので軽装の場合も多い)。
他のベルト調整法との比較
メーカーやモデルによっては、ウエストベルトが取り外し可能で、別サイズを展開している場合があります。
ベルトそのものでなくても、ベルトパッドのみでも取り外しできる場合にも、一度メーカーサイトやショップなどで確認してみるといいかも知れません。
また、わたしも「ザック ウエストベルト ゆるい」などのキーワードで検索したところ、腰にタオルを巻きつける、サポーターなどをベルトの内側に取り付ける、などの対策が紹介されていましたが、
歩いているうちにズレる→止まって直す→またズレる→嫌になる
という事態が想定されたため、できるだけストレスの少ない方法を考えました。
ザックのストレスは登山につきもの

ただでさえ、登攀中の重いザックのフィットは気になるものです。
歩きながら各所ベルトを長くしたり短くしたり、肩荷重・腰荷重のバランスを微調整……、ひとたび気になりだすと、ずーっと気持ち悪いまま歩き続けるハメになり、とうとうベストポジションが見つからないまま下山してくることもしばしば(わたしの場合)。
なのでメーカーに交換パーツがある場合は、もっともストレスなく、かつザックの荷重分散の機能を損なうことなく使えるはずなので一番良い方法と言えるでしょう(少々高くつくかも知れませんが)。
交換できない場合は、余計な干渉物、調整要素ができるだけ少なく、さらに落下や引っ掛けなどの事故に繋がるリスクが少ないことが重要です。
そういう意味で我ながら、このスペーサーを付けるアイデアはなかなか悪くない方法なのではないかと思っています。
お悩みの方は、実に簡単に取り付けられますので、一度お試しくださいませ。
なお、パイプカバーの耐久性はそれほど高くないので、使用しているうちにヘタってきてしまうことは避けられませんが、どのみち1メートルのパイプカバーは余ってしまうので、ツブれたら交換すれば問題ないでしょう。