このブログは主に、バンド活動において悩みがある方、活動に行き詰まって将来への不安を感じている方に見ていただいていると思います。
それは「バンドでの成功を目指している方」と言って差し支えないでしょう。
では、バンドで成功するにはどうしたらいいのでしょうか?
私自身は学生時代から10年以上バンドの一員として音楽活動をし、一時的には音楽だけで生活していた期間も3年ほどありました。今では音楽はほぼ「聴く専門」になってしまいましたが、結局就職せず現在も個人事業主として生計を立てられています。

この記事は、「バンド成功の秘訣」を求める需要にも応えられれば幸いですが、私個人としては現役時代の自分が知りたかった情報、知っていたらもっと楽しく音楽ができたのではないかという観点でまとめています。
今回は、売れないと嘆くバンドマンが「成功するために圧倒的に不足しているものは何か」を記事にしたいと思います。
もくじ
人気バンドに劣っているもの

きっと誰しも一度は「活躍しているバンドと自分たちのバンドの違いは何だろう」と考えたことがあるはずです。
たとえば、
- 楽曲のクオリティ
- 演奏力
- ルックス
- セルフプロモーション能力
この辺りが「違い」として浮かぶ筆頭でしょうか。
どういうレベルのバンドと比べるか、そして成功の質にもよりますが、おそらくどこかに足りてない、もしくはズレている部分があると認めていることは皆同じだと思います。
また反対に、売れてるあのバンドに比べても「ココ」は負けてないとか、もっと細分化して「楽曲のこういうオリジナリティ」だけは誰よりも優っている、と思うこともあるでしょう。
しかし結論から言うと、圧倒的にあなたに足りてないものは「時間」です。
唯一、断言できること
記事を書く前に試しに「バンド 成功」というキーワードで検索をかけてみました。
すると、なんと上位1、2位ともに、「バンド成功ノウハウ」が書かれた情報商材を販売するサイトでした(ちなみに値段は5000円未満です)。
内容に関しては買っていないので見当も付きませんし、こうした商材を非難したり、是非を問うつもりもありません。
しかしこうした情報が検索上位につけているという事実は、「成功のためのなんらかのノウハウがあるかも」と思ってクリックするバンドマンが多くいることを意味しています(購入には至らなくとも)。
それだけ藁をもすがる思いで皆が探し求めている情報だと言えるでしょう。
ショートカットして成功なし
この世のあらゆる業種のノウハウ本がそうであるように、「読めば万人が成功する方法」というものは存在しません。
競馬必勝法や、ブラックジャック必勝法といった、統計学を元にした考え方はないわけではありませんが、当然それは「必勝」であるはずはなく、お金と時間が無限にある前提で最終的にほぼ「プラス」着地であろうといった類のものです(10年やって+100円でもプラスと見なされる)。
つまり「時間」をかけずして先回りする方法など存在しないのです。
成功するのはつらい道のり
では私が足りていないと指摘した「時間」とはどんなものか説明します。
一言では難しいので順を追って説明します。まずはこの2点。
- どんな音楽を、誰の為にやりたいのか
- なぜあなたがやらなければならないのか
そして、誰のためかという問いに対しては「自分の為」という要素が必ず出てくるはずなので、
- どうしてあなたが自分の為にやる音楽を他人に伝えなければならないのか
- もし他人がお金と時間を使う価値がある音楽ならば、それはどんな価値か
問いかけ方は別として、売れ続けているバンド、活躍し続けているバンドは、この疑問に向き合った「時間」があなたより圧倒的に多いはずです。
小手先のテクニックやルックスの差ではありません。
その上、すでに世の中には素晴らしい音楽が溢れ、しかも現在その多くが実質的に無料で楽しめるような時代です。
その中から、あなたの音楽が選ばれる理由があるでしょうか?
どんな成功者も通る道がある

少し酷な質問だったかも知れません。
というのも、この「問い」には元々正解がないし、仮にある時点で明確に答えられたとしても、いずれまたその答えを問い直すことになるからです。
いわば「人生の意味」を探すことと似ています。
しかし、逆に言えば不確かなものを追い続けるからこそ、人々もまた常に求めるのだと言うこともできるわけで、クラシックと呼ばれる音楽が作られた時代にもしも「完成形の音楽」に到達したと皆が納得していたならば、誰もその先を追い求める必要はなかったはずです。
よって、あなたが「問い」の答えを見つけようともがいている限り、行為そのものは絶対に無駄ではありません。
もちろん「問い」自体に価値はありませんが、いつの日か正解に近いものが見つかったとき、ついに他人にとっても価値のある音楽になり得るのではないでしょうか。
どんな偉人も天才も同じ道をたどって来たはずだと私は考えます。
天才と一発屋を分析する
では「若くして活躍する・はじめて作った曲が売れる」といったケースをどう説明するかという問題が出てきますが、これは
- 幼少期から「問い」続けていた
- 「問い」続けた誰かに別人がなり変わっている場合
- 運
このいずれかではないかと私は思います。
想像もつきませんが、いわゆる天才って幼少期から、もっと言えば生まれながらにして、既に何らかの「問い」が始まっているのではないでしょうか?
子供の頃から自分の存在や世界に疑問を持って育ってきたと仮定すると「早熟の天才」がいるのも納得できる気がします。
また、世間的には天才シンガーソングライターでも実はブレインがいるケースや、まるで自分が生み出したかのように誰かを丸パクりするケースも考えられなくはありません(それでも売れたいと言う人を否定はしませんが)。
そして運です。
結果論ですが、そうとしか言いようのないものが確かに存在します。
しかし、一時的に運を味方につけた人もそのまぐれ当たりを自覚して、問いをし始めなければヒット曲を飛ばし続けることはできず、一発屋でキャリアを終えるでしょう。
ただ、偶然でも一度は「問いの答え」に近づいた経験があるので、まったく闇雲に探す人より「答え」に再び近づく可能性は高いと言えるかも知れません。
誰しも運にぶち当たる可能性はありますが、それに期待して動かないのはギャンブルと一緒ですね。ジェラシーを抱いても意味がありません。
バンドの確率論

すなわち「問い」続けるしか方法はありません。省きようがないのです。
ただ、ポイントは「バンドは個人の集まりだ」と言うことです。
個人の「問い」と「問い」がぶつかり合わさると「答え」に近づく瞬間がある。
つまり、個人で行うよりも「答え」に近づく確率を高められるのです。
組み合わせの数を求めよ
例えばA、B、Cが在籍する3ピースバンドが何らかの1つの「答え」を探すとして、組み合わせを考えると、
- それぞれが持っている3通り(A、B、C)
- 3人中2人の持っているものをぶつける3通り(A×B、A×C、B×C)
- 全部ぶつける(A×B×C)
計7通りのうちから、「答え」に近いものがあれば売れるかも知れません。
モンスターバンドとは
このとき、それぞれの「問い」に費やした時間も同時にかけ合わさるので、複数人で合わせた「答え」の方が大きく複雑で、オリジナリティのある形や質感になり易いと考えられます。
したがって、メンバーそれぞれが「問い」にかけた時間が大きければ大きいほど、かけ合わせたときに魅力あるバンドや楽曲になる可能性が増える。
そして反面で、かけ合わせのバランスが崩れれば途端に意味不明の物体になり変わり、世間から見向きもされなくなってしまう。
これは大所帯の編成で全員がたくさんの「問い」を持ち寄ると収拾がつかなくなるのにも似ています。
だからバンドには夢がある、個人では実現し得ないスペクタクルが起こり得るのです。
いわゆるベテランとか、勘のいい人って「この曲ではおれは引いておく」とか、「このタイミングで外部から客演入れちゃおう」とか最終的な姿を見通す力に長けていると思うんですね。これは「かけ合わす実験を行った回数」が多いからできることです。
コツコツと孤独な戦いを続ける
やはり基礎となるのは、個々が持ち寄る「問い」と向き合ってきた時間です。
それはときにつらく苦しいことで、終わりの見えなさに投げ出してしまうことや、他のメンバーがサボっているように見えればそれを責めてしまうこともあるかも知れません。
それでも、自分ができないことができるメンバーとバンドを組んでいるはずです。たとえ憎み合っても、バンドとして合わさることで独特の形になっていることは疑いようがありません。
全部ひっくるめて、それ自体が楽しく思える瞬間もあるはずです。
もちろん口で言うほど簡単なことではありませんが、どうか現役のバンドマンの皆さん、「問い」続けることをやめず、いつか今まで見たこともない異形の、美しく、巨大なモンスターを完成させてください。