バンド経験談 音楽

バンドマンの確定申告|お金の知識がなぜ必要か

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これまでにも現役バンドマンの将来への不安が少しでも減らせればと思い、記事を書いてきました。

まず、毎度の繰り返しになりますが、

私自身は学生時代から10年以上バンドの一員として音楽活動をし、一時的には音楽だけで生活していた期間も3年ほどありました。今では音楽はほぼ「聴く専門」になってしまいましたが、結局就職せず現在も個人事業主として生計を立てられています。

現役ではないので、現在の音楽業界の状況とは多少異なる部分があるかも知れませんが、記事内容の説得力アップになればと思い初めに書いておきます。

今回の記事では、「バンド活動しながら音楽以外のスキルを身につける方法」で紹介した会計スキル、および金融リテラシーの習得について、

  • 確定申告の重要性
  • 資産の概念
  • 手売り販売の際に見るべき数字

あたりに絞って、詳しく書いていきたいと思います。

お金は絶対大事

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もしも就職しないでバンドをやっているから「世の中を知らない」なんて負い目を感じているのであれば、それはまったく必要のない悩みです。お客さんを含めたバンドコミュニティは、一つの社会の縮図であるからです。

そして、自分で作った商品を直接お客さんに売るという経験は、やろうと思ってもなかなかできない経験でもあります。

こうした経験を通して学ぶ商売の基本の考え方が、一生使える金融リテラシーとなって将来あなたを助けるでしょう。

また「お金のタメに音楽やってるわけじゃない」という声もうっすら聞こえてきそうですが、仮にあなたはそうだとしても、結果としてお客さんの「大切なお金」を頂戴する訳ですから、少しは金銭感覚を身につけないと作る音楽が一方的になってしまう恐れだってありますよね。

なぜバンドマンに確定申告が必要か

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アルバイトの年末調整などで「源泉徴収税」という文字を見かけたことはありませんか? これは給与や報酬を支払う際に事前に徴収される税金のことで、受け取る側の所得によっては一度支払った税金が返ってくる場合があります。

ここでは詳しい説明はしませんが、源泉徴収税を「よくわからない」でスルーしているとバンドの売り上げの10%以上を損をしてしまうかも知れません。

具体的にバンドマンの場合で考えてみましょう。

源泉徴収税ってなんだろう

バンドマンの収入源は主に、

  1. 作品の売り上げ(手売りは除く)、楽曲使用料
  2. イベント出演料
  3. 物販の売り上げ

の3通りでしょうか。源泉徴収税は1.と2.の受け取りにおいて発生している場合があります(下図の原稿料や講演料などに該当)。

国税庁ホームページより

支払う必要のない税金を納めてしまっているかも

インディーズであろうと著作権登録をして作品をリリースしていれば、楽曲がラジオなどで流れる度に楽曲使用料が作曲者や作詞者に支払われます。

また、イベントに出演した際のギャラが振込で支払われているならば、最終的にあなたが受け取っている金額は既に源泉徴収税が差し引かれたあとの金額かも知れません。

どちらの場合に関しても、【総額の10.21%】が差し引かれており、確定申告をしなければそのまま納税しておしまいです。

よって、もしあなたが楽曲使用料や出演料を受け取っていて確定申告をしていないならば絶対に確定申告するべきです。

「いやいや、バイト先で年末調整してもらってるし」という方も、バイト代を引っくるめた金額を申告するべきです。場合によってはバイト代に発生した源泉徴収税をも払い戻される可能性があります。

確定申告のやり方|得られるお金と知識

確定申告のやり方についてはネット上にたくさん情報があるのでそちらに譲りますが、乱暴に言っちゃえば税務署へ突撃すれば優しく教えてくれますよ。国税庁のHP等でどんな書類が必要か、申告期間前に頭に入れておくといいかも知れません。

また還付される源泉徴収税があった場合は、申告後1カ月ほどで指定した口座に振り込まれます。

私も当時そうでしたが、正直バンドの売り上げ規模が小さい段階では申告する手間が還付金額に見合わないと感じるかも知れません。しかし年間の売り上げを見たり、経費の種類、税金の課税方法など生きていく上で必要な知識が多く学べるので、たとえ少額であっても申告することをオススメします。

お金にまつわるエトセトラ

先ほども登場した楽曲使用料は、もし仮にバンドがなくなってしまっても発生し続けます(もちろんカラオケで歌われたり、サブスクで再生されればの話ですが……)。この印税は不労所得なので、将来的に見ても立派な資産と言えるでしょう。

一般的に言って、10〜20代で不労所得を得ている人は少ないはずなので、バンドマンは若くして財テク入門の入り口に立っているようなものです。興味を持って勉強すれば、どんな業界に入っても強みになる知識が身につきます。

もちろん最初のうちは資産などと呼べない金額かも知れませんが、バンドが成長すればするだけ過去の作品の売り上げも伸びてきます。

自分が働かなければ支払われない労働所得と、資産そのものが働いてくれる不労所得とは大きく性質が異なるのです(興味があれば『金持ち父さん貧乏父さん』という本が解りやすいですよ)。

数字を見ながら売ると楽しい

また商品を手売りする上で、数字を見ることに慣れることができます。かなり初歩的なものですが、基本は押さえておくべきでしょう。

  1. 「安く仕入れて高く売る」という基本の考え
  2. 需要と供給、原価を考慮した販売価格の決定
  3. 商品それぞれの損益分岐点の算出

何を売るときにも上記の1〜3を意識して、利益が出る売り方を見つけられるようにしましょう。物販の値段設定はバンドの自由です。

たとえば、最低限売れるであろう個数を現実的に想定しそれに見合った値段を付ける、あるいは利益になる分岐点までレコ発イベントで売り切る目標を立てる、など試してみる価値がありそうです。

具体的に数字を見ながら販売することで失敗しても反省しやすく、次の対策が立てやすいことも利点です。かの矢沢永吉氏が「その日物販で一番売り上げの悪いTシャツをアンコールで着る」という話はあくまで噂ですが、何をどのくらい売らなければいけないか知っているということは、ある意味プロの成せる技なのです。

魅力的なバンドになるためにも

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少し話が広がり過ぎてしまいましたが、「お金に詳しくなること」は決して「悪」でも「ロックじゃないこと」でもありません。

その上現在は、サブスクリプションや、クラウドファンディングなども含めた販売手段の多様化で、売り上げの建て方は無限です。今後はそうした売り方そのものがバンドの個性になっていくことが予想されます。

そのために必要な「ベーシックなお金の知識」を無理なく身につけられるのも、ある意味でバンドマンの特権と言えるかも知れません。

どうか確定申告や物販をきっかけに一生モノのスキルを身につけてください。

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