この記事は、いまバンド活動をしていて、
- 将来を不安に思うようになった人
- いつかは就職しなければと頭の片隅で思っている人
- 活動が思うようにいかず挫折しそうな人
そんな不安を抱えながらも懸命に活動をしているバンドマンたちに向けて書くものです。

私自身は学生時代から10年以上バンドの一員として音楽活動をし、一時的には音楽だけで生活していた期間も3年ほどありました。今では音楽はほぼ「聴く専門」になってしまいましたが、結局就職せず現在も個人事業主として生計を立てられています。
時代は変われども苦悩する事って実はそんなに変わらないと思います。
- 家族や友人と衝突しない方法
- 心配を減らせる考え方
- 自信を取り戻す方法
といったあたりで、技術的なことや音楽業界の処世術ではありませんが、自分が現役のときに読んでいたらもっと楽しんでバンドができてたなと思える内容を書きたいと思います。
バンドマンの不安の根源はプレッシャー

音楽に限らず、就職せずに好きなことばかりしていると、親や友人たちから「世の中そんなに甘くないぞ」と言われます。
その他にも「好きなことを仕事にできる人はほんの一握り」だとか「将来を考えてもっと堅実に」とか、たとえ家族や友人から直接言われなくても、自然とこういう価値観は自分の中に植えつけられているから不思議です。
ところが、言われた本人(あなた)がその事実を把握していないのかと言えばそれはまったく逆で、ある程度経験があれば技術の壁、音楽で食べていく難しさや続けることのリスクを痛感する瞬間は毎日のようにやってきます。
誰しも、分かっている事を否定的に指摘されると腹が立ちます。子供のころに歯を磨こうと思ってるところに「歯を磨け」と注意されてむかついたのと同じ理屈です。
ストレスが自分を追い詰める

こうしたとき、よくある対抗策に「誰にも迷惑かけてないから放っておいて」と衝突を避ける方法があります。たしかに口論になったり、相手との関係を壊してしまうよりはマシかも知れません。
でも、これを繰り返すことのストレスがボディーブローのように後からじわじわと効いてくるのです。
他人から浴び続けたプレッシャーは自分の中にストレスとして残り、いつのまにか今度は自分で自分を追い詰めるプレッシャーへと変わります。
就職の不安に陥らない対処法

私の周りにも、他人からのプレッシャー、そしてそれにも増して自分からのプレッシャーに耐えきれず、バンドを続けている自分が嫌いになってしまった人がたくさんいました。これはいわゆる「バンドマンあるある」の一つではないでしょうか。
そこでオススメしたいのが、ここまで書いてきたように「不安の正体」を明らかにすること、どこからのどんな影響によって自分が不安を覚えているか徹底的に分析する方法です。
先ほど述べた「分かっている事を否定的に指摘されると腹が立つ」ことは、もっと言えば「弱点を突かれると防御しようとする」人間の防衛反応です。さらにこの防御が過剰になれば相手への攻撃に変わります。
まず自分の「弱点」を明確にする、これは「うしろめたく感じていること」と言い換えてもいいかも知れません。

就職活動時期が迫っている学生なら新卒での就職を逃すかも知れないとか、フリーターをしながらなのであれば就職した同級生に比べて収入が低いであるとか、バンドをやめたときにスキルやキャリアが何も残らないとか、それぞれの事情があると思いますが、多くの場合「仕事とお金」の問題がそのまま「弱点」になってはいないでしょうか?
要は、バンドをやっていない未来の期待値の方が、バンドをやって得られる期待値より大きいと感じているということです。なぜ期待値が低いと感じるのか、ひとつずつ洗い出してみましょう。
実際やってみると、現実を直視することは恐いことなので逃げてしまいがちです。そんなときはノートに書き出して検証することで、途中で嫌になって止めてもまた続きから再開できるはずです。「そんなことかよ」と思うかも知れませんが、ただ状況を俯瞰して見てみるだけで気持ちの整理ができて少し安心できますよ。
就職を勧める非バンドマンの気持ち
また、こんなふうに考えてみてもいいかも知れません。
純粋な心配やあたたかい助言ではなく、あなたに対して否定的な指摘や非難をしてくる人がいるとすれば「その人はどうして言ってくるのだろう?」と考えてみることです。
さっきと逆の方向で考えてみると、予想がつきやすいと思います。
つまりあなたを非難する相手にとって、あなたの行動が相手の「弱点」に触れているのかも知れないと想像してみたらどうでしょうか。「弱点」を刺激されるから防衛しようとあなたを批判してくるわけです。
もちろん想像の範囲を出ないことですが、自分を正当化したいがために相手を貶める人は残念ながら少なくありません。

たとえば、親を含めた上の世代があなたに否定的な意見を言うとき、「おれも本当は若い頃好きなことをしたかったのにできなかったんだ……」という後悔があったり、あなたの自由で楽しそうな姿に対する嫉妬があるかも知れません。
同級生にしても、「おれはこんなに我慢して働いているのにお前ばっかりズルい」というような、単なる八つ当たりの場合もあるでしょう。
そんなふうに相手の気持ちを想像してみると、あなたはまったくストレスを感じる必要がなくなります。たまたまお互いの「ないものねだり」がお互いの「弱点」をつつき合ってしまってるだけで、そもそもどっちが悪いとか、正しいとかいう話ではないのだと判断することができるからです。
あなたは間違ってないし、皆それぞれが選択した人生を歩んでいるに過ぎません。
逆に近くにいて、否定しない人やあたたかく見守ってくれる人をしっかりと観察した方が自分のためになります。きっとその人は自分の選択に責任と覚悟を持って生きている人でしょう。
良い音楽を作ることを考えよう
少し長くなってしまったので、もう一つの考え方は別の記事にまとめようと思います。
「自分を信じて」などと歯の浮くようなことは言いたくありません。とにかく冷静に自分の感情を分解して、とことん解析していくことをオススメします。
そして、それこそがいずれ良い音楽や良い演奏を作るきっかけになるはずです。
一点、記事中に就職=悪と感じさせてしまう表現があったかも知れませんが、私にそうした意図はまったくありません。別の仕事を持ちながら音楽を続ける選択肢も十分に考えるべきですし、そうした選択があなたの音楽活動を助けることも少なくないはずです。