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NUMBER GIRL再結成より、PIXIESの来日を観るべき理由

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2019年2月、NUMBER GIRLの再結成がアナウンスされ、当時の現役世代(現在30代〜40代)を中心にずいぶんと話題になりました。

https://numbergirl.com/

さらに現役の有名バンドマンなどからのコメントも相次ぎ、後からYouTubeなどで知ったヤング層も取り込んで、大きな話題になっています。

ただ、あえて言おう。
それは、OMOIDEにしがみ付く行為でしかないんじゃないか。
それよりも新譜を引っさげてバチバチでやってくるレジェンド、PIXIESの来日公演を観た方が満足できるんじゃないか、と。

もちろん、青春時代を彩ったアーティストを何十年も経って生で観られるなんて最高だし、一時的にノスタルジーに浸ることの心地良さはよくわかります。

そして、どちらも行けば万事オーケー(チケット取れれば)な話でありつつも、個人的にPIXIESに行くべき理由を書いていきたいと思います。

すべての道はPIXIESへ通ず

「名前は聞いたことあるけど……」という方に簡単にPIXIESの略歴を。

PIXIES(ピクシーズ)は、1986年に米ボストンで結成されたバンド。

ボーカル&ギターのブラック・フランシスの織りなす楽曲は、退廃的で狂気じみていながらも美しく、バンドサウンドは荒々しい疾走感と気だるい停滞感、静と動を行き来するスリリングさが持ち味。

さらにベース&ボーカルのキム・ディールの透き通った女声がアクセントとなり、ヘビーなサウンドの中にもポップさや神聖さすら感じられる、

NirvanaやRadioheadなど、その影響を語るアーティストは数え切れない、まさしくレジェンドバンドの一つです。

代表曲は映画『ファイトクラブ』で「完全にやられた!」的な使い方をされている、『Where Is My Mind?』や、

Nirvana『Smells Like Teen Spirit』のインスパイア元の一つとしても知られる、『Debaser』あたりでしょうか。

まだまだたくさん名曲を残していますが、ザラついたギターサウンドにシャウト混じりのボーカルがクセになる、ギターキッズを夢中にさせること間違いなしの楽曲が多いです。

そして、日本のキッズを虜にしたNUMBER GIRLもまた、PIXIESのフォロワーを公言しており、そのボーカルスタイルや緩急のある展開なんかは影響を感じ取るのに十分ですね(もっとモロな曲がありますが公式配信がないようなので)。

というわけで、PIXIESは言わば「オルタナ・グランジミュージックの祖」とでも言うべきオリジネイターであり(コアなナンバガファンを自称するためにも)、絶対にピクシーズ来日に行くべきなんじゃないかという、まず一つ目の理由です。

PIXIESとNUMBER GIRL、気合い比べ

まったく対立構造を誘う意図はないんですが、冒頭でも書いた通りPIXIESは新譜を引っさげての3年ぶりの来日公演です。

https://www.creativeman.co.jp/event/pixies2020/

2013年にオリジナルメンバーのベース&ボーカルのキム・ディールが脱退しているため、元A Perfect Circleのパズ・レンチャンティンが加入しています。

オリジナルメンバーでないのは残念ですが、なにやらこのパズ・レンチャンティン加入後のギグの評判も良いらしく、期待が膨らみますね。

一方、NUMBER GIRLは完全にオリジナルメンバーでの再結成。

しばらくドラマーとしての活動を見かけなかったアヒト・イナザワもドラムを叩き、それぞれの活動も華々しかっただけに、いま結集してどのようなNUMBER GIRLになるのか楽しみなところです。

ただ個人的には気になる発言が一つ。

向井 : そう伝えた。あとは金を稼ぎたいって。

──稼ぎたいっていうのはそのままの意味でいいのでしょうか?

向井 : 結果的にシノギになればいいなと。本当にシノギにしようと思ったら、金を使わなきゃいけない。どんな仕事でも同じですけど、投資っていうものがある。突っ込んでどれくらい返ってくるかっていう博打だからね、どの仕事でも。

走り出したいのよ、駒沢公園ぐらいまで──向井秀徳が語る、NUMBER GIRL再結成とこれから

過去に「再結成なんて金儲けのためだ」と言い放っていたバンドと言えば、かのSEX PISTOLSがいましたが、向井秀徳がこのタイミングでその趣旨の発言をすることに少し違和感を感じたのは、私だけでしょうか?

もちろんやるからには存分に儲けて欲しいくらいなんですが、あの噺家さながら、口上めいたMCで曲を彩っていた向井秀徳の発言としては的外れの感がある、言い訳っぽく聞こえてしまうように思うわけです、おこがましくも。

あくまで主観的な意見ですが、やっぱ新譜持ってやってくるレジェンドに対し、演出なんだか本気なんだかよくわからんテンションの青春の1ページバンドかと問われれば、当然レジェンド一択となるわけです。

(たまたま時期がかぶっているだけで比べる必要はないんですが、どうしても対比して見てしまう。そして両方行けばいい話……!)

アヒト問題へのナンバーガールとしての答えは?

これに関しては、NUMBER GIRLの功績や活動を貶める意図がないことを先に言っておきます。

再結成の話題のさなか、アヒト・イナザワの過去作品において政治的な偏りが見られるのではいないかという疑念、本人のTwitterアカウントのフォローにも同様の偏りがあるのではないかということで、ファンやミュージシャンも巻き込んでの炎上騒動がありました。

私自身は、もし本人が差別的な意図を持って楽曲を制作していたならばガッカリ即終了ですが、コメントで否定している以上はそうでない事を信じるしかないと思っています(あえてソースは載せません。真相が気になる方はご自身で真偽を確かめてみてください)。

現状、この騒動の顛末は忘れかけられているように見えますが、個人的にはやっぱりキッズ憧れの存在が個人コメント出して終了ってのはちょっと悲しく思ってしまうわけです。

少なくとも、YouTubeで後入りしたキッズたちに対して、自分が後悔していることや、過去の過ちに対して「謝罪コメントを出せば済むんだ」というメッセージになってしまっていることには気づいて欲しいと思います(せめて当該曲の視聴への対応をすべきではないのか?)。

燃えやすい話題に触れたくないのもわかりますが、他のメンバーの見解を知れないのも残念です。

しかし、このあたりはひょっとするとバンドとしての対応を遅まきながら用意していることも考えられ、再結成ツアーでしっかりした説明がなされる可能性がないわけではありません。

その点で、この大人の責任を賭けたハラハラ感が見れるかも知れないのはNUMBER GIRLの再結成公演だけ!

結果、めっちゃガッカリするかも知れないけど、ここは完敗です、PIXIES(勝たなくていい)。

生涯ファンでいられるバンドを見つけよう

気をとり直して、PIXIESのニューアルバム『Beneath the Eyrie』の発売は9月13日。この記事を書いている翌日です。

私も20代の頃には、レジェンドクラスのバンドが観られるチャンスがあっても、「旬の過ぎたおっさんたち見てもしょうがないじゃん」とかトンガってたことを思っていましたが、やっぱり何十年と続けてきたバンドだけが至る境地というものが存在し、またそうした年代になってもバンドマンであり続けているヒーローがめちゃくちゃ格好良く見えてくるようになりました。

たまたま対比するような構造になってしまいましたが、他人の評判を当てにせず自分の目で見て、生涯ファンであり続けられるバンドを見つけられることこそが大切だと思います。

ときには、生涯好きでいるはずだったバンドが変質してしまって、もしくは自分が人生の色々な面を経験して、まったく興味からかけ離れてしまうこともあるかも知れません。

けれどそうやって残ったバンド・音楽はきっと、自分がピンチの時に助けてくれる存在になるのだと思います。

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