
この記事を読む方は「G検定」がどんな資格試験かは既にご存知かと思いますが、概要だけ簡単に。
「G検定」は、今後のAI技術の運用、特にディープラーニングにおける基礎知識を問う試験です。
(実務的なプログラミング・実装技術に関しては「E資格」という、エンジニア向けの別資格の出題範囲になります。)
よって、「G検定」では知識や概要についてのみの出題になるので、主には、
- 人工知能研究の歴史
- 手法の構造的な説明
- 続々と生まれる最新技術についての時事問題
- 伴う法律や倫理についての各国の見解
などが内容になっています。
取得者の総数はまだ1.5万人足らずと少ないながら、資格の注目度としては高く、今後多くの業種で進むであろうディープラーニング技術の導入を主導する人材においては、その説得力に強く影響する資格になるだろうと期待されています。
もくじ
知識ゼロから2週間でG検定合格

わたしは、文系出身でプログラミングはウェブ系知識のみ、さらには資格の存在を試験の2週間前に知って即受験という、けっこう無茶苦茶な状態でありながら、無事2019#3でG検定を合格しました。
以下では基本的に、限られた時間で学習する方、もしくは受験自体を悩んでいる方に向けて、効率よく学習を進めるための方法を、実体験を元に書くものです。
この記事の内容
G検定の対策として、公式推奨書籍以外でよく目にするのは、
- テック系情報共有サイト【Qiita】のまとめ活用
- 神草 経知 氏の対策本(amazon個人出版)
- Study-AIの模試
などが紹介されていますが、
この記事ではもっと前段階の「知識を肉付けする前の下地」を、
- 試験傾向や出題内容の全体像把握
- YouTubeを用いた学習下地の形成
- 情報の体系化(テキスト&問題集)
という流れでインプットしていく方法を紹介をしていきます。
この試験は「受かれば手段は選ばない」って発想であちこち手を出せば出すほど情報量に翻弄されるように思います。よって紹介する方法は、特効薬ではありませんが近道にはなり得ると自負しています。
2019#3を受験した感想|出題傾向など

G検定は過去問を公開していないので、あくまで個人の感想の域を出ませんが、2019#3の試験の感想は「法律&時事問題めっちゃ多い!」でした。
というのも、公式テキストと問題集が発行されていますが、問題集巻末の総仕上げ問題とは半分以上異なる問題であったからです(データではなくあくまで体感ですが)。
それも問題集やテキストの内容を少しひねった、言わば『バリエーション問題』の類ではなく、そもそも両方の公式本に載ってない固有名詞が、当たり前のように登場し、その内容を問うものでした。
受験直後の感想は「完全に落ちた」、「リベンジしても受かる気しない」というものでしたので、運良く合格しましたが、正直まったく手応えはありませんでした。
G検定の特徴と対策|正攻法&注意点

G検定には先ほど申し上げた、過去問が公開されていないことに加え、
- インターネットで自宅受験可能
- 試験中に問題をリサーチOK
- 120分間に240問ほど出題
- 受験者数の増加とともに難易度増の傾向にあり(評判・憶測)
- 受験費用が13,200円と比較的高額
という特徴があり、
多くの受験者が言うように、一見、「自宅で調べながら受験できるなて余裕じゃん!」と思われがちですが、出題数が多く30秒に1問回答するペースが求められるので、全問回答するにはリサーチする時間はほとんどないと考えた方がいいです(わたしの場合、順番に回答し全問埋めた段階で115分経過していました)。
すなわち、G検定に合格するには、
- 総合的・包括的な学習をする
- 捨てる問題や回答する順序など、試験対策を立てる
- 1+2に基づいた当日検索用インデックスを入念に作る
という方法が正攻法となります。
それから意外にも『自宅で120分』が障壁になりがちで(ネット環境があればどこで受験してもいいんですが)、なにより試験中の集中力を保てることが前提になってくることも注意点と言えるでしょう。
G検定が本質的に問うものは

脅すわけではないんですが、ある意味けっこう考えられた試験方法だと思います。
先述の3.のような、抜かりなく問題に関する情報をスクレイピング(自動収集)しておいたとしても、かなりツール自体を使い慣れていないと、かえって情報量の多さが仇となり解答に時間がかかってしまうでしょうし、
かといって、テキストだけ完璧に学習すれば合格点に達するような、『悪しき日本の教科書至上主義』みたいな内容では当然ないため、そういう勉強の仕方が染み付いてしまっている人にとっては苦労する部分になってきます。
総じて、日頃の情報収集スキルを問う試験になっているように感じます。
受験する上での予備知識
したがってG検定は、日々の情報の取り方によって、向き不向きが分かれると言えそうです。
普段からビジネス系ニュースサイトなどで、AI技術やIT関連に関して情報に触れていて、それを実務や趣味に活かす場面がある人は、そのままテキストなどで知識を体系化していけば、すんなり合格圏内に食い込めるでしょう。
一方、そもそも長いテキストの記事を読むのに慣れていない人はかなり苦労しそうです。
論文のような文章も情報として取る必要があり、只でさえ文字を追うだけで内容が入ってこない事態になりがちなので、そういう場合はまず動画学習から入ってください。
初学者がテキストを読む前にやること

よって、初学者および苦手意識のある人は公式テキストの前にYouTubeにアップされている、AI関連の動画をひたすら見る方が、あとの学習の効果が上がるように思います。
【ディープラーニング】や【深層学習】と検索すれば、けっこうな数がヒットするので、内容の善し悪しはあると思いますが片っ端から見て、分かり易く気に入ったものを複数回見てください。
このとき、知らない単語のメモを取る必要は特にありません。
専門用語や重要人物名に関しては、冒頭で書いた【Qiita】まとめの方が、自分で書くメモよりもまとまっていて使いやすいからです(暗記すればその分早く解答できますが)。
この時点で興味がまったく湧かなかったり、学習にストレスを感じるようであれば、直接学習とは無関係ですが【Google Cloud Japan】などの動画でディープラーニングの実用例を見た方が「なんのための学習なんだ……」という、ど壺に陥らずに済むかもしれません。
動画で見た内容をテキストで体系化
出題される割合は下降気味ではありますが、それでも公式テキストと問題集は必須です。
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動画でなんとなく概要が掴めたら一度テキストを通読しましょう。
そして、問題集も正答できなくていいので、解説も含めて一周します(問題集の最後に「総仕上げ問題」がありますが、せいぜい所要時間の計測くらいにしか役に立たないので、普通の問題と同じく端から解いて解説を読めばいいと個人的には思います)。
テキストと問題集を通読するとわかると思うのですが、そもそもこの二つの書籍の章分けや順序などの内容が完全にマッチしていません。
したがって「公式」と謳っていますが、試験本番に対して言うなら、どちらも資料のうちの一つに過ぎません。どちらも本番までに2回読み通せば十分ではないでしょうか。
あとは動画や最新情報をリサーチして肉付け、対策サイトの模試を試すなどをしていく訳ですが、やはり出題側も簡単に入手できる情報からは問題を作っていません。
ここについては、2019#3試験中にわたしが実際に参照したサイトをまとめていますので、ご参考までに。
G検定の出題範囲は広大
こうしてみると、学習量が膨大に感じるかも知れませんが、出題範囲の網羅はそもそも不可能と割り切って、合格後の自分を見据えて学習した方が効率的と言えるかも知れません。
わたしの場合、『1日2時間ほど机に向かい、寝る前にテキストを読む』を1週間、残りの1週間で『最新ニュースのリサーチとインデックス作り(Qiitaから拝借してまとめる)+寝る前にテキスト復習』という内容で学習しました。
動画は、テキスト到着までの間+移動や食事中に見たり聴いたりしています。
【特記傾向】BERT/ELMoは調べておいて損なし

最新技術の中では特に、自然言語処理技術の『BERT/ELMo』は、現在進行形の最重要トピックですので、どのみち試験後もリサーチし続けることになるので、早いうちから知識を付けておくといいでしょう。
G検定を2週間で合格するために
そもそも事前に持っている知識量や、コンピュータサイエンス系の素養というものは個人差がかなりありますし、それによって学習の進め方もそれぞれであることは承知の上です。
ただひとつ体感として言えることは、とりあえず合格だけを目的にするならば、
短い時間で叩き込んだ方が有利
出題範囲の広さ、自宅受験の集中力という面において言えば、充分すぎる準備期間はかえってダレる原因になりかねないので、ちょっと強引ですが、
時間がない方が「集中力が高いまま本番に臨める!」と捉えて学習してみてください。
次回試験2020#1は、3月14日です。
役に立てていただけたら幸いです。皆さんの合格をお祈りしています!
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