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映画館から出ても終わらない「新聞記者」話題の真相は?

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6月28日に公開されたばかりの話題作「新聞記者」をイオンシネマで鑑賞してきました。今のところ一度きりしか観ていませんが、

  • なぜ話題になっているか
  • これまでの日本映画と何がちがうのか
  • 劇場で観る価値がある映画か

といった辺りをできる限り客観的に紹介していきたいと思います。

「新聞記者」はどんな映画か?【ネタバレなし要約】

スターサンズインフォ|『新聞記者』予告篇

ジャンルという言い方が正しいかわかりませんが、次々と謎が解き明かされていく展開としてはサスペンスであり、物語映画として単純に楽しめるという点ではエンターテイメント作品であると言って差し支えないと思います。

ただし、映画内で扱われるニュースはどれもフィクションという前提ですが、原案は望月衣塑子・東京新聞社会部記者の「新聞記者」であり、実際に日本で起きている事件や問題に言及していることは明らかです。

そして劇中でもっともフォーカスしているのが「森友加計問題」で、その真相究明を巡って内閣府、官僚、そして記者たちがそれぞれの境遇ゆえに葛藤し、決断していく物語です。

「新聞記者」と似た映画、比較されるのは?

近年、こうした記者や新聞社といった報道機関が、事件の真相に迫っていく報道サスペンスものにヒット作が多いように感じます。スピルバーグの「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」や、「スポットライト 世紀のスクープ」などは記憶に新しいところです。

日本だと少し前の作品ながら「クライマーズ・ハイ」などあるように、メディア機関が取材を重ねていく中で事件の真実を暴いていくといった内容は決して目新しいものではないはずです。

では「新聞記者」は、海外作品や同手法の作品と何がちがうのでしょうか。

「新聞記者」はリアルタイム性が魅力

先にあげた映画はいずれも題材が、過去の(製作時すでに責任を追求されるべき人物が表舞台にいない)事件であるのに対して「新聞記者」は、現安倍政権や官僚システムに対する疑心や不安をあからさまに描いています。

もちろん作者の皮肉めいた主張が、脚本とセリフに垣間見えるような作品は数多あっても、こうした丸ごと政権批判的な内容の映画がリアルタイムの時間軸で公開されることは私の記憶する限りではこれまでなかったように思います。

この点においては圧倒的に「新聞記者」はいま観るべき映画です。

Photo by Pixabay from Pexels

いま劇場で観ることでしか感じられないリアリティ、作品のメッセージがあるように思いました。

しかし同時に、即時性が高いからこそ注意しなければならないとも感じます。ネットメディアが一度拡散されれば例え真っ赤なウソでも現実味を帯びてしまうことの裏返しで、時間をかけたリサーチが公平性や客観性を形作ることは無視できません。

いまだに新聞紙面に存在意義があるのは、少なからずそうした究明時間をまとったメディアであることが一つにあるのではないでしょうか。

「新聞記者」は映画館から出ても終わらない。

また、一方的な論調ではないかという点にも注意が必要です。

劇中でも繰り返し登場するフレーズとして「誰よりも自分を信じ疑え」と出てくるように、内容を見たまま聞いたまま受け入れてしまうことを、この映画は良しとしていません。

物語にする以上、敵に立ち向かうという構造に、敵側の正義が描かれないことはよくあることです。

普通のフィクションであれば主人公に感情移入し続けても何ら問題ありませんが、「新聞記者」は見終わって映画館を出ても外には劇中と変わらない世界が広がっていて、自分の生活が映画と地続きであることを思い知らされる、つまり、映画館から出ても終わらない、醒めないのです。

そういう意味で敵側の人生に触れることが現実にあることも、もっと言えば自分や家族が「そっち側」という場合をも想定する必要があり、常に自分の立場や行動に対し疑いを持つことが求められます。

本当の!?「新聞記者」の楽しみ方

Photo by Jenna Hamra from Pexels

現実と地続きであることは、観客だけでなく制作した側にも言えることです。

もし現実に、政府による印象操作、時の権力者に対する忖度が強烈に日本に存在しているならば、この作品に出演した俳優をはじめ、スタッフたちの活躍の場は今後制限されてしまうでしょう(都市伝説的に飛躍して言えば、消されかねない……)。

そしてそれとは反対にメディアを使ったプロパガンダとして、今後こうした作品が現政府に批判的な立場の側によって多く生み出される事もあるかも知れません。

今後の「新聞記者」および製作陣の処遇によって、どういった権力や圧力が働いているか見極める基準にすらなり得るのです。

そうしたウォッチを可能にした事こそがこの映画の機能であり、目的である。決して客観性を欠くことなく、「誰よりも自分を信じて疑え」。そんなメッセージがあるのだと感じました。

わたしは特に主演のシム・ウンギョンさんはとても印象的な演技をされていたので今後の活躍が楽しみですし、もちろん松坂桃李さんの国内次回作がどういった作品になるのかは必ず追っていきたいと思いました。

いま劇場で、穿った見方を推奨

上映館は少なくありません。イオンエンターテイメントが配給として名を連ね、全国のイオンシネマで上映しています。

イオンカードでおトクに映画をたのしみましょう!

わたしが行った日は映画サービスデーの影響も大きかったのか、平日昼間にも関わらず100席の施設の8割前後が埋まっていました。またそのほとんどが50歳代からそれ以上の年齢層であったことに驚きました。

穿った見方をすれば、参院選を控えた今の時期ですから、話題が話題を呼び大ヒットとなれば現政府が圧力をかけ不自然な早期上映終了に追い込まれることもあるのでしょうか。
はたまた、のちに事件の真相が現実世界で明らかになり(もしくはウソが"現実"として認知され)、とんでもない誤報映画として扱われる日が来るのでしょうか。

いずれにしてもそうした観測地点を作った映画として、大変すばらしい映画だと思います。ぜひ劇場でご覧になってください。

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